法律で定められた「講習」制度とは?酒類販売管理研修の仕組みを解説
酒類販売業を営むためには、国税庁の許可(酒類販売業免許)が必要です。
しかし、免許を取得すれば終わりではありません。販売事業者には「酒類販売管理者」を選任し、その管理者が定期的に「酒類販売管理研修」を受講する義務があります。
この記事では、「酒類販売免許」に関してよくある質問
👉 どこで受講できるのか
👉 内容や費用はどうなっているのか
👉 いつ受ければいいのか
を行政書士の立場からわかりやすく解説します。
酒類販売管理研修とは?
酒類販売管理研修とは、酒類の適正な販売を目的として、販売事業者が選任する「酒類販売管理者」に対して行われる講習です。
この制度は、未成年者飲酒防止や過度の飲酒によるトラブルを防ぐために導入されました。
研修は、全国小売酒販組合中央会などが委託を受けて実施しています。
酒類販売管理者とは?
酒類を販売する店舗(販売場)ごとに、必ず1名以上の「酒類販売管理者」を選任する必要があります。
管理者の主な役割は以下の通りです。
- 未成年者への販売防止の徹底
- 販売従業員への指導・教育
- 販売記録・掲示物の管理
- 法令遵守の確認
つまり、店舗運営における「お酒の責任者」としての立場になります。
選任後は3年に1回、定期的に酒類販売管理研修を受講しなければなりません。
研修の内容と所要時間
研修は2時間強で行われる場合が多く、次のような内容が中心です。
- 酒類販売管理者制度の概要
- 酒類販売に関する法令(酒税法、未成年者飲酒防止法など)
- 飲酒による健康被害や社会的影響
- 店舗での表示・広告の留意点
- 適正販売のための実務管理
講習の最後には、理解度確認のための簡単なテストが行われます。
難易度は高くなく、内容を聞いていれば十分に合格できるレベルです。
受講場所と申込み方法
酒類販売管理研修は、全国の各都道府県の小売酒販組合などが実施しています。
申込みは、組合のホームページや電話で受け付けています。
たとえば東京都の場合は「東京小売酒販組合」などが担当し、都内各地(新宿・上野・立川など)で定期的に開催されています。
講習会のスケジュールは国税庁のサイトや各団体が運営しているサイトで確認できます。
受講費用と持ち物
受講費用は地域によって多少異なりますが、おおむね3,000~5,000円程度です。
当日は以下のものを持参します。
- 受講申込書
- 本人確認書類(運転免許証など)
- 筆記用具
- 受講料(現金支払いの場合)
受講後には「酒類販売管理研修修了証」が交付されます。
この修了証は、販売場に掲示する義務があり、更新時期の目安にもなります。
研修の有効期限と再受講
研修の有効期限は3年間です。
期限を過ぎても再受講を怠ると、管理者としての資格を維持できません。
また、店舗の移転や経営者の変更があった場合にも、改めて管理者を選任し、必要に応じて研修を受講する必要があります。
受講義務を怠るとどうなる?
酒類販売管理者を選任していなかったり、研修を受講していなかった場合、税務署からの指導・勧告を受けることがあります。
悪質な場合には免許の「取消処分」に至るケースもあります。
つまり、「酒類販売管理研修」は単なる形式ではなく、免許維持のために欠かせない法的義務です。
オンライン研修はあるの?
酒類販売管理研修は会場での対面受講だけでなく、一部のエリアではオンライン講習も実施されています。
👉 全国小売酒販組合中央会公式:酒類販売管理研修(eラーニング研修)
会場での研修は定員制や予約制が一般化しており、人気の会場では早めの申込みが必要です。
初めての方へのアドバイス
これから酒類販売業を始める方は、免許申請の際に「誰を酒類販売管理者にするか」を決めておく必要があります。
管理者には特別な資格は不要ですが、責任感と遵法意識が求められます。
また、研修内容は業界未経験者でも理解できる構成になっており、講師が丁寧に解説してくれます。
初めてでも安心して受講できる講習です。
まとめ:酒類販売免許の“スタートライン”がこの講習
酒類販売免許を取得して営業を始めるとき、この「酒類販売管理研修」は避けて通れません。
受講を怠ると免許維持に関わるため、営業開始前または開始直後に必ず受講を済ませておきましょう。
講習は、単なる義務ではなく、「お酒を安全に、正しく販売するための心構え」を学ぶ場でもあります。
しっかり理解して、安心して営業できる体制を整えましょう。
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行政書士の大谷賢司です。
ワインエキスパート・シードルアンバサダーとしての知識に加え、MBAで培った経営的視点から、酒販免許取得と開業をトータルで支援しています。
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