1. オークションサイトやフリマサービスでお酒を販売する際に必要な許可とは
オークションサイトやフリマアプリなどでお酒を販売する場合、多くのケースで「酒類販売業免許」が必要になります。
酒類の販売は酒税法に基づいて厳格に管理されており、免許を持たずに継続的に販売を行うと「無免許販売」となり、罰則の対象となるため注意が必要です。
お酒の種類や販売方法(店頭販売・通信販売・卸売など)によって、取得すべき免許の種類が異なります。
オークションサイトなどインターネットを介して販売する場合には、通常「通信販売酒類小売業免許」が該当します。
1.1 酒類販売業免許が必要な理由
酒税法では、酒類の販売を「免許制」と定めています。これは、酒税の適正な課税と流通管理を目的とした制度であり、誰でも自由にお酒を販売できるわけではありません。
とくに、Yahoo!オークションやメルカリなどのサービスでは、購入者が全国に広がるため、「通信販売」とみなされるケースがほとんどです。
したがって、
- 継続的に酒類を販売する
- 他人から預かった酒を販売する
- 利益を目的として販売する
といった場合には、酒類販売業免許の取得が必要になります。
免許を持たずに販売した場合は、酒税法第56条に基づき「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」が科されることがあります。
1.2 どのような場合に免許が不要になるか(例:自分の家庭の不要品を処分する場合など)
一方で、すべてのケースで免許が必要というわけではありません。
以下のようなケースでは、酒類販売業免許を取得しなくても問題ないとされています。
- 自分で購入したお酒を、一度きり・個人的に処分する目的で出品する場合
- 贈答品やコレクションなど、家庭内で保管していた酒類を単発で売却する場合
- オークションサイトで1〜2本だけ出品し、営利目的ではないと明確に判断される場合
ただし、出品を繰り返すなど事業的・継続的な販売と見なされると、免許が必要になります。
また、同時に「古物商許可」が関係する場合もあるため、中古酒類(古酒など)を扱う際は注意が必要です。
※参考:
2. 古物営業法との関係
オークションサイトやフリマアプリなどでお酒を販売する場合、酒税法だけでなく「古物営業法」の適用を受ける可能性があります。
特に、中古品や他人から買い取った酒類を販売する場合には注意が必要です。
2.1 中古品としての酒類を扱う場合
未開封であっても、他人から買い取った酒類は「中古品(古物)」として扱われることがあります。
たとえば、個人や店舗からワインやウイスキーを買い取り、それをオークションサイトなどに出品・販売する場合は、古物営業法上の「古物営業」に該当します。
2.2 古物商許可が必要になるケース
次のようなケースでは、酒類販売業免許に加えて「古物商許可」が必要になります。
- 個人や事業者から中古の酒類(未開封品)を買い取って販売する場合
- 買取と販売を反復継続して行う場合(1回限りではなく継続的に行うとき)
- オークションサイトやフリマアプリを通じて、仕入れた中古酒類を販売する場合
一方で、自分の所有物を処分目的で1回限り出品するだけであれば、古物商許可は不要です。
2.3 古物商許可と酒類販売業免許の両方が必要な場合
中古の酒類を継続的に販売する場合は、次の2つの許可が同時に必要になります。
- 酒類販売業免許: 酒税法に基づき、酒類を販売するために必須の免許。
- 古物商許可: 古物営業法に基づき、他人から買い取った未開封の酒類など、中古品として再販売するために必要な許可。
両方の許可を取得せずに販売を行うと、酒税法・古物営業法のいずれにも違反するおそれがあります。
特にブランド酒や希少ウイスキーなど、中古市場で取引される酒類を扱う場合は、古物商許可と酒類販売業免許の両方が必要となるのが一般的です
3. オークションサイト・フリマサービスでの販売ルール
3.1 オークションサイト・フリマサービスでの禁止・制限事項
Yahoo!オークションやメルカリなどのオークションサイト・フリマアプリでも、お酒を出品することは可能ですが、各プラットフォームごとに厳しい制限が設けられています。
その出品、法律違反ではありませんか?~フリマサイト等に酒類を出品される方へ~(国税庁)https://www.nta.go.jp/taxes/sake/menkyo/pdf/0023006-116.pdf
これらの規定に違反した場合、アカウント停止や出品削除などの措置が取られるほか、無免許販売として酒税法違反に問われるおそれもあります。出品する際は販売目的が各サービスのガイドラインに抵触しないかを必ず確認しましょう。国税庁のサイトでは、下記のQAも公開されています。
A 酒類の販売業をしようとする場合には、酒税法に基づき、販売場ごとにその販売場の所在地の所轄税務署長から販売業免許を受ける必要があります。
したがって、フリマサイトやインターネットオークション等のような形態であっても、継続して酒類を出品し販売を行う場合には酒類の販売業に該当し、販売業免許が必要となります。
ただし、例えば、ご自身の飲用目的で購入した又は他者から受贈されたなどの酒類のうち、家庭で不要になった酒類をフリマサイトやインターネットオークション等に出品するような通常継続的な酒類の販売に該当しない場合には、販売業免許は必要ありません。
これは、ガレージショップや学校のバザーなどに酒類を出品する場合も基本的には同じです。
根拠法令等:
酒税法第9条
法令解釈通達第2編第9条関係
3.2 無免許販売の罰則(酒税法第56条など)
酒類販売業免許を取得せずにお酒を販売した場合、酒税法第56条により「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」が科される可能性があります。
たとえ小規模な取引であっても、反復継続して販売行為を行えば「営業」とみなされ、無許可販売に該当します。
また、罰則だけでなく、過去の販売に関する税務調査や追徴課税が行われるリスクもあります。
3.3 プラットフォーム利用停止やアカウント削除のリスク
Yahoo!オークションやメルカリなどのオークションサイト・フリマアプリでは、酒類の出品に厳しい規定が設けられています。
無許可で販売していると判断された場合、即時出品停止・アカウント削除・取引停止といった措置を受けることがあります。
さらに、運営会社が税務署や警察に通報するケースもあり、結果として行政処分や刑事罰につながることもあります。
違反によるダメージは、罰則だけでなく、事業の信用やオンライン取引の継続にも大きな影響を及ぼすため、必ず適法な手続きを踏んで販売を行いましょう。

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みのり青山行政書士事務所

【ご挨拶】
行政書士の大谷賢司です。
ワインエキスパート・シードルアンバサダーとしての知識に加え、MBAで培った経営的視点から、酒販免許取得と開業をトータルで支援しています。
お酒業界で新たに事業を始める方に寄り添い、確実かつスムーズなスタートをお手伝いいたします。
| 事務所名 | みのり青山行政書士事務所 |
|---|---|
| 代表者 | 大谷 賢司 |
| 所属・会員・資格 | 東京都行政書士会渋谷支部理事 早稲田大学商学部、早稲田大学ビジネススクール(WBS)卒業 日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート 日本シードルマスター協会認定シードルアンバサダー |
| 所在地 | 東京都渋谷区道玄坂一丁目15番3号 プリメーラ道玄坂329 |

