酒類卸売業免許は、酒類製造業者や他の酒類販売業者に対して酒類を継続的に販売(卸売)するために必要な免許です。このページでは、取得要件、免許の種類、必要書類、申請の流れ、費用の考え方まで、初めての方にもわかりやすく整理して解説しています。酒類販売業免許を専門とする行政書士が、実務上の注意点も含めて丁寧にご案内します。
この記事でわかること
- 酒類卸売業免許の概要(卸売でできること・できないこと)
- 主要な免許の種類(洋酒・輸出入・自己商標など8区分)と選び方
- 取得に必要な4つの要件(人的・場所的・経営基礎・需給調整)
- 申請から免許交付までの流れ — 審査期間(標準2か月)と全体像
- 申請に必要な書類と準備ポイント — 資金証明・建物契約など
- 料金体系と行政書士に依頼した場合の費用感 — 報酬・登録免許税(9万円)の目安
1. 酒類卸売業免許とは
1.1 この免許でできること・できないこと
酒類卸売業免許を取得すると、酒類販売業者(卸売業者・小売業者)や酒類製造者に対して、酒類を継続的に販売することができます。酒類の製造場から消費者の手に届くまでの流通の中継を担うのが卸売業で、メーカーから仕入れて酒販店に供給する、輸入した酒類を国内の酒販店に橋渡しするといったビジネスが対象になります。
一方で、次の点には注意が必要です。
- 一般消費者への直接販売はできない — 消費者や飲食店への販売は小売業にあたり、卸売業免許では行えません。
- 販売先は免許を持つ事業者に限られる — 酒類販売業者および酒類製造者への継続的な販売が卸売の範囲です。
- 免許は販売場ごとに必要 — 本店で免許を取得していても、支店で卸売を行う場合は支店の所在地の所轄税務署長から新たに免許を受ける必要があります。
- 無免許の卸売は処罰されます — 免許を受けずに卸売をした場合、また小売しかできない免許で卸売をした場合、酒税法により1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処されます。
1.2 他の酒販免許との関係性
酒類販売業免許は大きく「小売業」と「卸売業」に区分され、消費者への販売を行う場合は小売業の免許(一般酒類小売業免許・通信販売酒類小売業免許など)が必要です。
たとえば、海外から輸入したワインを酒販店などに卸売をしつつ、同時に自社のECサイトで消費者に販売する場合は、「輸入酒類卸売業免許(もしくは洋酒卸売業免許)」+「通信販売酒類小売業免許」の組み合わせになります。このように卸売業免許だけでは事業の範囲が限定されるため、自社の販売チャネルに合わせて免許を組み合わせることが重要です。
👉通信販売酒類小売業免許とは?要件・費用・ネットでお酒を売る手順を解説
2. 主要な卸売免許の種類
酒類卸売業免許は、扱う酒類の範囲や販売方法によって8つの区分に分かれています。自分の事業形態にどの区分が合うのかを最初に見極めることが、申請の第一歩です。
2.1 免許区分の一覧表
| 免許区分 | 扱える酒類・卸売の範囲 | 需給調整要件(抽選) |
|---|---|---|
| 全酒類卸売業免許 | 原則、すべての品目の酒類を卸売できる | あり(免許可能件数・公開抽選) |
| ビール卸売業免許 | ビールを卸売できる | あり(免許可能件数・公開抽選) |
| 洋酒卸売業免許 | 果実酒(ワイン)、ウイスキー、ブランデー、発泡酒、スピリッツ、リキュールなど洋酒系の品目の全て又はこれらの酒類の品目の1以上を卸売できる | なし(申請順に審査) |
| 輸出入酒類卸売業免許 | 自己が輸出する酒類・自己が輸入する酒類に限って卸売できる(輸出用と輸入用は別の免許) | なし(申請順に審査) |
| 自己商標酒類卸売業免許 | 自らが開発した商標・銘柄の酒類に限って卸売できる(品目は不問) | なし(申請順に審査) |
| 店頭販売酒類卸売業免許 | 会員登録した酒類販売業者に、店頭で直接引き渡して持ち帰ってもらう方法に限り卸売できる | なし(申請順に審査) |
| 協同組合員間酒類卸売業免許 | 自己が加入する事業協同組合の組合員である酒類小売業者に卸売できる | なし(申請順に審査) |
| 特殊酒類卸売業免許 | 酒類製造者の本支店・出張所等向け、企業合同に伴うもの、共同販売機関に対するものなどの特別な形態 | なし(申請順に審査) |
出典:国税庁「酒類卸売業免許申請の手引」(https://www.nta.go.jp/taxes/sake/menkyo/tebiki/oroshiuri/index.htm)
2.2 用途別の選び方
| やりたいこと | 向いている免許区分 |
|---|---|
| 日本酒・ワインなどを海外へ輸出したい | 輸出酒類卸売業免許 |
| 海外のお酒を自社で輸入して、国内の酒販店に卸したい | 輸入酒類卸売業免許 |
| ワイン・ウイスキーなどを、自社輸入品以外も含め幅広く扱いたい | 洋酒卸売業免許 |
| 自社ブランド(PB)のお酒を開発して卸したい | 自己商標酒類卸売業免許 |
| ビールだけを大量に卸したい | ビール卸売業免許 |
| すべての品目をまとめて卸したい | 全酒類卸売業免許 |
| 会員制の店頭販売や組合員向けなど、特殊な形態で卸したい | 店頭販売/協同組合員間/特殊酒類卸売業免許 |
2.3 主要な免許区分の解説
洋酒卸売業免許
果実酒(ワイン)、甘味果実酒、ウイスキー、ブランデー、発泡酒、その他の醸造酒、スピリッツ、リキュール、粉末酒、雑酒の全てまたはこれらの品目の1以上を卸売できる免許です。ワインやウイスキーを中心に国内の酒販店へ流通させたい事業者に向いています。海外からの輸入も品目の範囲内で行えるため、「洋酒なら何でも」に近い幅で事業を組みやすく、卸売免許の中では申請実績も多い区分です。一方で、ビール・清酒・焼酎など洋酒系の品目以外は扱えない点に注意してください。
輸出入酒類卸売業免許
「輸出酒類卸売業免許」を取得すると、日本国内で仕入れた酒類を海外の取引先に販売(輸出)できます。「輸入酒類卸売業免許」を取得すると、自己が輸入した酒類を国内の酒類販売業者に販売できます。輸出用と輸入用は別の免許となるため、両方を行う場合はそれぞれ取得が必要です。
押さえておきたい制限は次のとおりです。
- 他の者が輸入した酒類は卸売できない — 輸入酒類卸売業免許の販売対象は「自己が輸入した酒類」に限られます。他社が輸入した酒類を卸す場合は、品目に応じた他の卸売免許(洋酒卸売業免許など)が必要です。
- 消費者への直接販売は不可 — 輸入した酒類を販売できるのは事業者(卸・小売業者)に限られます。
自己商標酒類卸売業免許
自らが開発した商標または銘柄の酒類に限って卸売できる免許です。扱う品目は不問である点が特徴で、自社ブランド(PB)やOEM商品を酒販店に流通させたい事業者に向いています。既存の銘柄を仕入れて卸すことはできないため、「卸す商品は自社ブランドに絞る」という事業形態が前提の免許です。
その他の区分(店頭販売・協同組合員間・特殊)
- 店頭販売酒類卸売業免許 — 会員登録した酒類販売業者に限り、店頭で直接引き渡して持ち帰る方法でのみ卸売できます(配達は不可)。
- 協同組合員間酒類卸売業免許 — 自己が加入する事業協同組合の組合員である酒類小売業者への卸売に限られます。
- 特殊酒類卸売業免許 — 酒類製造者の本支店・出張所等向けや共同販売機関など、事業者の特別な必要に応じた限定的な免許です。
2.4 全酒類卸売・ビール卸売について
すべての品目を卸売できる「全酒類卸売業免許」、ビールに限定した「ビール卸売業免許」は、免許区分の中でも扱いが特殊です。この2つの区分は、都道府県単位の免許可能件数の枠内でしか免許が付与されず、申請時期に応じた公開抽選の対象となります(詳細は「3.4 需給調整要件」の備考欄をご覧ください)。また、卸売基準数量(全酒類100kl、ビール50kl以上)といった高めの基準も課されます。まずは洋酒・輸出入・自己商標などの区分から申請し、事業拡大後に区分の拡大を検討する段階的なアプローチも現実的な選択肢です。
3. 取得に必要な要件
酒類卸売業免許を得るためには、人的・場所的・経営基礎・需給調整の4つの要件を満たす必要があります。小売業の免許と共通する部分も多いのですが、経営基礎要件の判断項目など、卸売ならではのポイントがあります。順に解説します。
3.1 人的要件
人的要件とは、酒税法第10条第1号から第8号に定められている欠格事由のことで、一つでも該当すると免許は交付されません。条文はやや分かりにくいため、ここでは実務上の判断に沿って5つのグループに分けて解説します。ご自身や役員の経歴と照らし合わせながら、事前に確認しておきましょう。
- 過去の免許取消歴(3年以内に処分がないか)
- 税金の滞納処分(過去2年以内に差押え等がないか)
- 国税・地方税関係法令等の違反による罰金刑・通告処分(3年以内)
- 特定の法律違反による罰金刑(3年以内)
- 拘禁刑以上の刑歴(執行猶予中を含む)
① 過去に酒類販売業免許・製造免許を取り消されたことがあるか
自分の判断で営業を廃止した自主廃業は問題ありません。問題になるのは、法令違反などを理由に税務署から免許取消処分を受けた場合です。チェックされるのは2つのパターンです。
- 申請者自身の取消歴 — 申請者自身が、酒類の製造免許・販売業免許またはアルコール事業法の許可の取消処分を受けた場合、取消処分の日から3年を経過していなければ免許は受けられません。
- 過去の役員経歴 — 免許を取り消された法人の、取消しの原因となった事実のあった日以前1年以内に業務を執行する役員であった者は、その法人が取消処分を受けた日から3年を経過していなければなりません。「前の会社で処分を受けた当時の役員は、新しい会社でも3年間は免許に関われない」というルールです。「自分は悪くない、前の会社の話だ」というのは通用しないため、役員の過去の経歴は慎重に確認してください。
② 過去2年以内に税金の滞納処分を受けていないか
酒類販売業免許は、税務署長が管轄する免許です。そのため、納税状況は非常に厳しくチェックされます。確認されるのは、過去2年以内に国税または地方税の滞納処分(督促を無視した結果の差押え等)を受けたことがあるかという点です。単なる支払遅れとは区別されます。法人の場合は、会社自体の納税状況が対象となります。
③ 国税・地方税に関する法令等に違反し、罰金刑・通告処分を受けたことがないか
国税または地方税に関する法令等に違反して罰金刑に処せられた場合、または通告処分を受けた場合は、それぞれ刑の執行が終わった日(通告処分の場合は履行した日)から3年を経過していないと免許を取得できません。
④ 特定の法律違反により罰金刑に処せられたことがないか
次の法律に違反して罰金刑に処せられた場合も、その執行が終わってから3年を経過していないと免許は下りません。
- 二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(20歳未満の者に対する酒類の提供に係る部分に限る)
- 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律
- 刑法(傷害、現場助勢、暴行、凶器準備集合及び結集、脅迫又は背任の罪)
- 暴力行為等処罰に関する法律
⑤ 拘禁刑以上の刑を受けていないか
お酒に直接関係するかどうかにかかわらず、過去に拘禁刑以上の刑に処せられた場合は、その刑の執行が終わってから3年を経過していないと免許を受けられません。執行猶予中の場合も含まれます。
法人の場合の注意点
法人で申請する場合、代表者だけでなく、役員全員が上記の人的要件をすべて満たしている必要があります。「一人だけ該当していたために申請がストップする」というケースも少なくありません。申請前に、必ず役員全員の経歴を確認しておきましょう。
👉小売業の免許と共通するポイントの詳細は、一般酒類小売業免許の人的要件の解説もご参照ください。
3.2 場所的要件
場所的要件とは、申請する販売場が、酒税法上、不適当とされる場所でないかどうかを確認するものです。国税庁の手引きでは「正当な理由がないのに取締り上不適当と認められる場所に販売場を設けようとしていないこと」と定められています。押さえるべきポイントは次の2点です。
- ✅ 「同一場所での営業」になっていないか(製造場、既存の販売場・飲食店など)
- ✅ 「区分」が明確か(スペース・人員・会計が独立)
① 同一場所での営業になっていないか
申請する販売場が、製造免許を受けている酒類の製造場、販売業免許を受けている酒類の販売場、酒場または料理店等と同一の場所でないことが求められます。また、すでに酒類販売免許を取得している場所での重複した免許も認められません。
② 他の営業と明確に区分されているか
販売場の営業が、他の営業主体の営業と明確に区分されている必要があります。審査では、次の点を総合的に見られます。
- 区画割り(壁や仕切りなどでスペースが切り分けられているか)
- 専属の販売従事者の有無
- 代金決済の独立性(レジ・会計が独立しているか)
卸売業ならではの実務ポイント
- 事務所・倉庫型でも申請可能 — 店頭販売を行わない卸売業の場合、店頭スペースの区分は必須要件ではありません。事務所と倉庫を組み合わせた形態でも、実在性と独立した営業体としての成立性が示せれば問題ありません。ただし、バーチャルオフィスや実態のない場所は不可です。
- 国内消費者向け販売を併用する場合は小売基準に従う — 国内の消費者向け販売を行う場合は、その基準に従って販売スペースを区分する必要があります。
この基準を満たしていないと、場所的要件の審査で不適当と判断され、免許交付が難しくなる可能性があります。事前に販売場のレイアウトや営業体制を確認し、独立した販売場として成立することを証明できるよう、しっかりと準備を進めましょう。
3.3 経営基礎要件
経営基礎要件では、免許の申請者が破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない場合のほか、その経営の基礎が薄弱であると認められる場合に該当しないことが求められます。判断は大きく2つの側面に分かれます。
- ✅ 「拒否事由」に該当する項目がないか(イ〜ヘ:税金の滞納、一定基準を超える累積赤字など)
- ✅ 「適格性」を総合的に満たしているか(ト〜リ:実務経験の有無、事業計画に見合う資金や設備など)
【拒否事由】イ〜ヘに該当しないか
①【イ】現に国税・地方税を滞納していないか
「過去に遅れたことがある」よりも、現時点で滞納が残っている状態かどうかが問われます。
②【ロ】申請前1年以内に銀行取引停止処分を受けていないか
資金繰りや信用面で、事業の継続が難しいと判断される典型例です。
③【ハ】最終事業年度の「繰越損失」が「資本等の額」を上回っていないか
最終事業年度の確定した決算に基づく貸借対照表で、繰越損失が資本等の額を上回っている場合に該当します。資本等の額は、次のように算出します。
資本等の額 = 資本金等① + 資本準備金② + その他の剰余金③ - 繰越損失④
判定:繰越損失④ > 資本等の額 であれば【ハ】に該当(アウト)
| 事例A(該当) | 事例B(非該当) | |
|---|---|---|
| 資本金等① | 500万円 | 1,000万円 |
| 繰越損失④ | 300万円 | 300万円 |
| 資本等の額(①-④) | 200万円 | 700万円 |
| 判定 | 繰越損失300万円 > 資本等の額200万円 → 該当 | 繰越損失300万円 < 資本等の額700万円 → 非該当 |
簡単に言えば、「会社の体力に対して、赤字の蓄積の方が大きい状態かどうか」を見られています。
④【ニ】過去3事業年度の全てで、資本等の額の20%を超える欠損がないか
最終事業年度以前3事業年度のすべての事業年度において、当期純損失の額がその事業年度の資本等の額の20%を超えている場合に該当します。一時的な赤字ではなく、継続的に大きな赤字が出ていないかがチェックされているイメージです。
⑤【ホ】酒税に関係のある法律違反の通告処分について、未履行・告発の状態がないか
酒税に関係のある法律に違反し、通告処分を受けて履行していない場合、または告発されている場合に該当します。
⑥【ヘ】法令違反により店舗の除却・移転を命じられていないか
建築基準法、都市計画法、農地法、流通業務市街地の整備に関する法律その他の法令や条例に違反しており、販売場の除却または移転を命じられている場合に該当します。
【適格性】ト〜リを充足できるか
⑦【ト】知識・能力
経験その他から判断し、適正に酒類の卸売業を経営するに十分な知識及び能力を有すると認められる者、またはこれらの者が主体となって組織する法人であることが求められます。申請者が法人の場合は、代表権を有する役員や主たる出資者も対象になる点に注意してください。
⑧【チ】資金・販売施設・設備
酒類を継続的に卸売するために必要な資金、販売施設及び設備を有していること、または必要な資金を有し免許の付与までに販売施設及び設備を有することが確実と認められることが求められます。輸入であれば仕入れ資金や倉庫・物流体制、輸出であれば輸送管理体制など、事業計画に応じた体制が問われます。
⑨【リ】卸売基準数量(年平均販売見込数量)
申請販売場における年平均販売見込数量が、全酒類卸売業免許は100kl以上、ビール卸売業免許は50kl以上であることが求められます。100klは633mlのビール大瓶に換算すると約16万本です。これ以外の免許区分(洋酒・輸出入・自己商標など)については、年平均販売見込数量に関する基準はありません。あくまで事業計画として現実的で根拠のある数量を示すことが大切です。
3.4 需給調整要件
酒類販売業免許の制度では、酒類の需給の均衡を保つ観点から、地域や品目ごとに免許の数を調整する「需給調整要件」が設けられています。結論から言うと、この需給調整要件の適用があるのは「全酒類卸売業免許」と「ビール卸売業免許」だけです。
そのため、洋酒卸売・輸出入・自己商標・店頭販売・協同組合員間・特殊の6つの区分については、免許可能件数の枠や公開抽選はなく、申請した順に審査が行われます。また、通信販売酒類小売業免許にあるような3,000klルール(国産酒の製造者ごとの出荷量制限)のような、扱う酒類の品目別の制限もありません。扱える酒類の範囲は、各免許区分の条件のとおりです。
全酒類卸売・ビール卸売の場合:免許可能件数と公開抽選
全酒類卸売業免許・ビール卸売業免許は、都道府県を一単位とする「卸売販売地域」ごとに免許可能件数が算定され、その枠内でのみ免許が付与されます。手続の流れは次のとおりです。
- 毎年9月1日 — 各卸売販売地域の免許可能件数を国税庁ホームページに掲載
- 9月1日〜9月30日 — 抽選対象申請期間(この期間に提出された申請が公開抽選の対象)
- 10月中 — 公開抽選を実施し、審査順位を決定
- 審査開始通知から2週間以内 — 審査時提出分の書類を提出
- 標準処理期間2か月 — 審査順位に従って審査が行われ、免許可能件数の範囲内で付与
抽選対象申請期間外の申請は、抽選対象の申請に対して免許を付与した後、免許可能件数がなお残っている場合に限られます。また、7月1日〜8月31日に受理された申請は原則として同年9月1日に受理したものとして扱われ、翌免許年度の枠での付与となるため注意が必要です(法人成り等に伴う申請、営業の譲受けに伴う申請、同一卸売販売地域内での販売場の移転許可申請を除く)。
4. 申請から免許交付までの流れと期間
- 事業計画の検討・整理 — どの免許区分で、どの酒類を扱うか。販売先・仕入先、販売見込数量など
- 管轄税務署への事前相談 — 要件適合性の確認
- 申請書類および添付資料の準備・作成
- 申請書類の提出
- 税務署による審査 — 標準処理期間は2か月。補正対応があった場合はその分、期間が延びることがあります
- 免許通知書の交付・登録免許税の納付(9万円)
- 酒類取引の開始・管理体制の構築 — 帳簿の記帳・保存など、酒類販売業者としての義務
なお、全酒類卸売・ビール卸売の場合は、上記の前に公開抽選のプロセスが入ります(免許可能件数の公告[毎年9月1日]→ 申請[9月1日〜30日]→ 公開抽選[10月中]→ 審査)。申請から免許交付までの標準的な期間の全体像は、申請の流れの解説ページをご覧ください。
5. 必要書類と準備ポイント
酒類卸売業免許の申請では、主に次の書類が必要になります。
- 酒類販売業免許申請書および添付資料(販売場・倉庫の状況、建物配置図、事業計画、収支予測など)
- 誓約書
- 履歴書
- 資金関係の証明書
- 地方税の納税証明書
- 不動産関係の書類(土地・建物の登記事項証明書、賃貸借契約書、使用承諾書など)
- 法人関連書類(定款、役員の履歴書)
- 財務書類(法人は直近数期分の決算書、個人事業主は確定申告書類)
準備のポイント
- 事務所・倉庫が実在し、適切に管理されていること(バーチャルオフィスや実態のない場所は不可)
- 申請時の仕入れ・販売計画が現実的かつ根拠のある内容であること — 予定する販売先や仕入れ先、取引数量を具体的に説明できることが、卸売業の審査では特に重要です
- 添付書類の不備がないこと(契約書、図面、使用承諾書など)
- 税金滞納歴や過去の処分歴が人的要件・経営基礎要件に抵触していないこと
6. 費用の目安
酒類卸売業免許の登録免許税は、免許1件につき9万円です(小売業の免許の30,000円と異なります)。当事務所にご依頼いただいた場合の報酬額の目安は、免許のタイプごとに次のとおりです。
| 免許のタイプ | 当事務所の報酬額(税込) | 登録免許税 | 費用の合計目安 |
|---|---|---|---|
| 洋酒卸売/輸出入卸売/自己商標酒類卸売業免許 | 170,000円 | 90,000円 | 260,000円 |
| 全酒類/ビール卸売業免許 | 270,000円 | 90,000円 | 360,000円 |
なお、全酒類卸売・ビール卸売の申請には、税務署による公開抽選のプロセスがあります。時期や要件、手続きの進め方によってプロセスが異なるため、詳細についてはお問い合わせください。料金の詳細は、料金一覧ページをご覧ください。
7. よくあるご質問
Q. 卸売業免許があれば、消費者や飲食店に直接お酒を売れますか?
A. できません。卸売の販売先は、免許を持つ酒類販売業者および酒類製造者に限られます。消費者や飲食店への販売には小売業の免許(一般・通信販売)が必要です。
Q. 輸入酒類卸売業免許を取れば、輸入したお酒を自社のネットショップで売れますか?
A. できません。輸入酒類卸売業免許は事業者向けの卸売のための免許です。消費者へのネット販売は、通信販売酒類小売業免許が必要です。
Q. 全酒類卸売業免許は誰でも取得できますか?
A. 難易度は最も高い区分です。都道府県単位の免許可能件数の枠内での付与・公開抽選に加え、年平均販売見込数量100kl以上などの基準も課されます。まずは洋酒・輸出入・自己商標などから段階的に取得する方法も合わせてご提案できます。
Q. 個人でも取得できますか?
A. 可能です。個人事業主の場合はご自身の経歴・納税状況・資金力などが審査されます。法人の場合は、役員全員の人的要件の確認が必要になる点が大きな違いです。
8. まとめ:まず押さえるべきポイント
- 卸売の販売先は「酒類販売業者・酒類製造者」に限られ、消費者向け販売には小売免許との組み合わせが必要
- 免許区分は8つ。まずは洋酒・輸出入・自己商標など、自分の事業に合う区分を見極める
- 4つの要件のうち、経営基礎要件・需給調整要件の判断項目は小売と異なる。全酒類・ビール卸売は抽選・卸売基準数量の対象
- 事前相談と書類準備の丁寧さが、審査の成否と期間を左右する
酒類卸売業免許は、扱う品目や販売方法によって必要な区分が大きく異なる免許です。「このビジネスプランならどの区分か」「要件を満たせるか」という段階からでも、当事務所にご相談ください。事業計画に合わせた最適な免許の組み合わせを、ワインエキスパートの知見と経営視点からご提案します。
