なぜ酒販免許の準備は「定款の目的変更」から始めるのか
酒類販売業免許の申請要件や全体の流れを踏まえたうえで、申請準備において最初に着手すべき「定款の目的変更」について、その実務上の理由を解説します。
法人が酒類販売業を営むためには、定款の目的に「酒類販売」に関する記載が必須となります。近年の行政手続きの簡素化に伴い、申請時の登記事項証明書の添付自体は不要となりましたが、事業主体として事業目的を適正に整えておく手続きそのものが省略できるわけではありません。
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変更登記には、株主総会の特別決議(合同会社は社員全員の同意)と、法務局での審査期間(1〜2週間程度)が必要です。また、定款変更が効力を生じた日から2週間以内に変更登記を申請する義務があり、初動での着手が不可欠です。登記完了後にすぐ免許申請へ移行できるよう、必要書類の準備を並行して進めます。
定款に追加する事業目的の記載例
定款に記載する事業目的は、申請する免許の種類(小売・卸売など)に合わせて適切に設定する必要があります。また、すでに「飲食店の経営」の目的がある場合でも、酒類販売用の目的の追加(定款変更)が別途必要な点に注意してください。
- 店舗販売・ネット通販(一般酒類小売業免許・通信販売酒類小売業免許):「酒類の販売」「酒類の小売業」「酒類の通信販売及び店舗販売」など
- 卸売・輸出入(洋酒卸・輸出入卸など):「酒類の卸売業」「酒類の輸出入及び販売」など
飲食業の目的(「飲食店の経営」等)は、店舗内で酒類を開栓して提供するためのものであり、未開栓のまま持ち帰り用や通信販売等で販売(小売・テイクアウト等)を行うための目的としては不十分です。そのため、酒類販売業免許の申請にあたっては、明確に「酒類の販売」に関する目的を追加する必要があります。
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定款変更から登記完了までの具体的な手順
目的変更の登記申請後、法務局での審査期間を活用して、酒類販売業免許の申請準備を並行して進めます。酒類販売業免許の取得にかかる期間とスケジュールについては、事前の段階からしっかり把握しておくことが重要です。
税務署へ提出する酒類販売業免許申請書(次葉)の作成、販売場の配置図の作成、賃貸借契約書の確認、地方税の納税証明書の取得など必要な準備を一気に進めることで、登記完了を待ってから準備を始めるよりも大幅に期間を短縮できます。
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準備開始(DAY 1):
株主総会等で決議のうえ、目的変更登記を法務局へ申請。同時に酒類販売業免許の申請準備を開始します。 -
登記中(1~2週間程度):
法務局の登記審査中に、免許申請書類一式および添付書類の作成・確認・手配を進めます。 -
登記完了後:
目的変更の登記反映を確認したうえで、税務署へ酒類販売業免許申請書を提出します。 -
免許審査(原則として申請書等の提出のあった日の翌日から2か月以内):
税務署による審査を経て、免許が交付されます。
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- ※法務局の登記完了までの期間は、申請先の法務局や時期、混雑状況等によって前後します。
- ※書類の補正や追加資料の提出等に要する期間は、標準処理期間(2か月)に含まれません。
- ※全酒類卸売業免許・ビール卸売業免許に関しては免許可能件数に上限があり、毎年9月1日〜9月30日の抽選対象申請期間と公開抽選で審査順位が決まります。卸売免許を検討されている場合は、登記完了後すぐ申請という流れにはならず、定款変更の着手時期を含めて別途スケジュール設計が必要です。
定款変更と酒販免許申請にかかる法定費用
定款変更および酒類販売業免許の申請にあたって発生する主な法定費用および実費は以下の通りです。
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法務局(変更登記):
登録免許税 30,000円(登記申請時に納付) -
税務署(酒販免許):
登録免許税 30,000円(小売)/ 90,000円(卸売)
※免許1件(=販売場1か所)につき課税
※免許付与の際に税務署から「酒類販売業免許に伴う登録免許税の納付通知書」が届くので、通知に基づき税務署または金融機関等で納付し、領収証書を「登録免許税の領収証書提出書」に貼付のうえ、指定された期日までに税務署へ提出 -
その他実費:
地方税納税証明書発行手数料など
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手続きをスムーズに進めるためのポイント
酒類販売業免許を取得する際、法務局での「変更登記(司法書士領域)」と、税務署への「免許申請(行政書士領域)」という、2つの手続きを滞りなく連動させることが重要です。
手続きをスムーズに進めるための実務上のポイントは以下の通りです。
定款に追加する目的の文言は、予定している販売形態(店舗販売・通信販売・卸売・輸出入など)に対応できるよう、あらかじめ適した表現を選んで記載することが大切です。後から目的を追加すると再度の決議・登記(登録免許税3万円)が必要になるため、将来的に拡げる可能性のある販売形態も含めて設定しておくと安心です。
法務局での変更登記には1〜2週間程度の期間がかかります。この審査期間を活用し、税務署へ提出する申請書や添付書類(配置図、賃貸借契約書、地方税納税証明書など)の作成・取得を並行して進めます。登記完了後、すみやかに税務署へ申請書を提出できる状態にしておくことで、全体のスケジュールを無駄なく進めることができます。
変更登記を担う司法書士と、免許申請を担う行政書士が連携して対応することで、目的文言の確認から申請スケジュールの調整までをスムーズに行うことができます。手続き全体の進捗を共有しながら並行して進めることで、手間の削減とスケジュールの短縮につながります。
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よくある質問(FAQ)
- 設立したばかりの会社ですが、定款変更は必要ですか?
-
設立時の定款および登記事項に、すでに酒類販売業に関する目的が含まれている場合は手続き不要です。定款や登記に酒類販売に関する記載がない場合にのみ、目的変更の手続きが必要となります。
- 登記の申請中(完了前)に、税務署へ免許申請書を提出することはできますか?
-
提出自体はできますが、税務署が目的変更の登記完了を確認できるまでは審査が進まないため、実質的に審査が一時停止することになります。無駄な停滞を防ぐためにも、登記完了のタイミングに合わせて提出するか、完了後すみやかに確認が行えるよう準備しておくことが重要です。
みのり青山行政書士事務所 代表紹介
| 事務所名 | みのり青山行政書士事務所 |
|---|---|
| 代表者 |
大谷 賢司(特定行政書士・申請取次行政書士) 東京都行政書士会登録 第24081669号 |
| 役職・所属団体 | 東京都行政書士会渋谷支部 理事 |
| 学歴・保有資格 |
早稲田大学商学部卒業、同大学ビジネススクール(MBA)修了 日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート 日本シードルマスター協会認定シードルアンバサダー |
| 主な実績・講演歴 |
・渋谷区創業セミナー(特定創業支援等事業)講師(2025年10月、2026年6月・10月) ・日本ソムリエ協会「ワイン検定ブロンズクラス」講師(2022年) |
| 所在地 |
〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂一丁目15番3号 プリメーラ道玄坂329 |
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