通信販売酒類小売業免許の「3,000klルール」とは?

通信販売酒類小売業免許で「ネット販売できるお酒」の条件とは?

通信販売酒類小売業免許の検討を進める中で、「国内で製造された有名なお酒を売りたいのに、免許の対象にならない」という壁に突き当たるケースは少なくありません。その主な要因となっているのが、いわゆる「3,000kl(キロリットル)ルール」です。

通信販売酒類小売業免許で販売できる国産酒は、前会計年度における酒類の品目ごとの課税移出数量がすべて3,000kl未満である酒類製造者(特定製造者)のお酒に限られます。

✔ 輸入酒はこの制限の対象外です。

3,000klルールとは

通信販売酒類小売業免許で販売できる国産の酒類は、「前会計年度における酒類の品目ごとの課税移出数量が、全て3,000kl未満である酒類製造者(特定製造者)が製造・販売する酒類」に限られるというルールです。

  • 輸入酒のルール:輸入酒は3,000klルールの対象外(全銘柄販売可能)となります。
  • OEMの例外:地方の特産品等(製造委託者が所在する地方の特産品に限る)を原料として特定製造者以外の製造者に製造委託する酒類は、当該酒類の一会計年度における製造委託者ごとの製造委託数量の合計が3,000kl未満であれば、受託先が大手メーカーでも対象となります。

したがって、仕入れ先の製造メーカーから「課税移出数量が3,000kl未満であり、特定製造者に該当する」旨の証明書(課税移出数量証明書)の交付を受けられない場合、その国産酒を通信販売で取り扱うことはできません。

通信販売酒類小売業免許の申請・ご相談

販売計画に合わせた適切な手続きと要件の確認をご案内します(初回60分/オンライン対応)

LINEで相談する

LINEでもご相談可能です


販売できるお酒・できないお酒 早見表

通信販売酒類小売業免許で取り扱えるお酒は、「輸入酒」か「特定製造者(前会計年度の酒類の品目ごとの課税移出数量がすべて3,000kl未満のメーカー)が製造した国産酒」のどちらかに該当するものに限られます。

仕入れを検討しているお酒が通信販売の対象になるかどうか、以下の早見表でご確認ください。

お酒の分類・区分 通信販売(EC) 該当するお酒の具体例・判断のポイント
輸入酒(全般) ○ 可能 ワイン、ウイスキー、ビール、焼酎、スピリッツなど海外から輸入されたお酒全般。
※製造規模(3,000klルール)の制限を受けないため、銘柄を問わず販売可能です。
クラフトビール / 地ビール ○ 可能 小規模なブルワリー(特定製造者)が製造する国産ビール。
※製造元から「課税移出数量証明書」の交付を受ける必要があります。
国産ワイン(小規模ワイナリー) ○ 可能 前会計年度の課税移出数量が3,000kl未満のワイナリー(特定製造者)が醸造・販売する国産ワイン。
※製造元から「課税移出数量証明書」の交付を受ける必要があります。
日本酒(小規模酒造メーカー) ○ 可能 前会計年度の課税移出数量が3,000kl未満の酒蔵(特定製造者)が醸造する日本酒(清酒)。
※製造元から「課税移出数量証明書」の交付を受ける必要があります。
クラフトジン / クラフト蒸留酒 ○ 可能 小規模な蒸留所(特定製造者)が製造する国産スピリッツやリキュール。
※製造元から「課税移出数量証明書」の交付を受ける必要があります。
特産品等を原料とするOEM酒類 条件付き可能 地元の特産品等を原料として、地方公共団体や事業者等が製造を委託(OEM)した酒類。
※地方の特産品等(製造委託者が所在する地方の特産品に限る)を原料として特定製造者以外の製造者に製造委託する酒類は、当該酒類の一会計年度における製造委託者ごとの製造委託数量の合計が3,000kl未満であれば、受託先が大手メーカーでも対象となります。
大手メーカーの国産酒(ワイン・ビール等) × 不可 大手メーカーが自社製造する国産のワイン、ビール、ウイスキー、焼酎など。
※前会計年度の課税移出数量が3,000kl以上となるため、通信販売の対象外となります。

「3,000klルール」と証明書の集め方

通信販売酒類小売業免許で扱える国産酒は、前の会計年度の品目ごとの課税移出数量が、すべて3,000kl(キロリットル)未満のメーカーが製造するものに限られます。この基準を満たす小規模なメーカーのことを、「特定製造者」と呼びます。これは大手メーカー中心の市場を、地酒やクラフトビールなどの小さなメーカーにも開放する趣旨のルールになります。

※輸入酒はこの制限の対象外となるため、証明書は不要です。

3,000klルールをクリアするために実務上で対応すべきポイント

ポイント 1 特定製造者に該当するかの確認

「特定製造者」に該当するかどうかは、国税庁が個別のメーカー名をリスト化して公表しているわけではありません。そのため、扱いたいお酒の製造メーカーがこの基準をクリアしているかを、メーカーに直接確認する必要があります。

💡 規模感の目安: 3,000kl未満(350ml缶で約857万本分)は地方の酒蔵やクラフトビール醸造所であれば、ほぼ含まれる規模感と考えてよいでしょう。
ポイント 2 メーカーの証明書を取り寄せる

申請時には「通信販売の対象となる酒類である旨の証明書」を添付します。これはメーカー(製造元)が発行する書類で、仕入先となる卸売業者(問屋)を経由して取り寄せるか、メーカーから直接取り寄せるのが実務上の一般的な流れです。

3,000klの規模感とは?地酒メーカーの基準を解説

3,000klと言われてもピンと来ませんが、実はかなり大規模です。

  • 350ml缶ビール:約857万本
  • 25mプール:約8.6杯分(一般的な25mプールを約350㎥とした場合)
  • 日本酒:約1万6,600石

日本酒でいうと、3,000klを超えるということは、あえて大まかに説明すると、地方の有名銘柄クラスを超える規模もしくは全国のスーパーに並ぶ大手メーカー規模といったところです。

※350ml缶ビールで857万本がどのくらいかを絵にしてみました。このピラミッド2,000個分の規模感になります。

3,000klを缶ビールのピラミッドで表した絵

免許の基準は「製造量」ではなく「課税移出数量(出荷量)」で判断される

ここで注意が必要なのは、判定基準は製造量ではありません。 審査で使われるのは「品目ごとの課税移出数量」です。

  • 「造っている量」と「証明書の数字」は必ずしも一致しません。
  • イメージだけで勝手に判断せず、証明書を入手できるか早めに確認しましょう。

「3,000kl証明書」の書き方と記入見本

メーカー(酒蔵・ワイナリー・ブルワリーなど)に「通信販売の対象となる酒類である旨の証明書」の発行を依頼する際は、記入見本を参考に記載内容を確認・作成してください。基本的にはメーカー側(製造者)が署名・押印(または記名)して発行する書類です。

通信販売酒類小売業免許の3,000kl証明書書き方見本
証明書の主な記入ポイント
  • 日付 証明書を作成・発行した年月日を記入します。
  • 宛名(申請者) 免許を申請する事業者(自社)の名称を記入します(例:株式会社〇〇酒店 殿)。
  • 証明者(メーカー) お酒を製造しているメーカーの所在地、法人名、代表者名を記入・捺印してもらいます。
  • 会計年度 直近の確定している会計年度(前年度)を記入します。

「3,000kl証明書」を入手するための3つの具体的な方法

この証明書はどうやって入手すればよいのでしょうか。よくある3つのパターンをご紹介します。

パターン① 卸売業者(問屋)経由で依頼

最も一般的です。既存の取引がある場合、卸売業者の担当者からメーカーへ依頼してもらいます。

パターン② 製造元へ直接依頼

売りたいお酒が決まっているなら、製造元(クラフトビール・ワイナリーなど)へ直接依頼します。 【依頼時のポイント】

  1. 今後継続して商品を販売する意思があること
  2. 免許申請に必要な書類であること
  3. 税務署提出用であること を明確に伝えましょう。

パターン③ 展示会などで直接交渉

まだ扱うお酒が決まっていない場合、展示会などで直接メーカー担当者と交渉し、新たな出会いを探すのも一つの手です。


3,000kl証明書に関するよくある質問

3,000kl証明書は誰が発行するのですか?

お酒のメーカー(酒類製造者)が発行します。

申請者が作成するものではなく、お酒を造っている蔵元やワイナリー、ビール醸造所などが発行する書類です。実務上は、仕入先である問屋(卸売業者)を経由してメーカーから取り寄せてもらうか、メーカーから直接発行してもらって入手する場合が多いようです。

3,000kl証明書に有効期限はありますか?

手引書等に「発行から〇ヶ月以内」といった明確な有効期限の規定はありません。

ただし、3,000klルールは「カタログ等(インターネット等によるものを含む。)の発行年月日の属する会計年度の前会計年度における課税移出数量」を基準に判定する仕組みになっています。そのため、必ず申請する時点で最新の会計年度に対応した証明書をもらう必要があります。

輸入酒を販売する場合も3,000kl証明書は必要ですか?

いいえ、輸入酒を販売する場合は証明書は不要です。

3,000klルールは、あくまで「国産のお酒」にのみ適用される制限です。海外から輸入されたお酒(ワインやウイスキーなど)については、製造メーカーの規模に関係なくネット通販が可能であるため、証明書を用意する必要はありません。

【まとめ】通信販売酒類小売業免許の成否を分ける3,000kl証明書と「銘柄選び」

通信販売酒類小売業免許で国産のお酒を販売する場合、3,000kl証明書の提出は避けて通れません。 事業計画段階で、以下の3点を必ず確認しましょう。

  1. 売りたいお酒は通信販売酒類小売業免許で販売可能か
  2. 証明書取得可能か
  3. 自分のビジネスプランに合致しているか

酒類販売業免許なら
まずは無料相談へ。

初回相談無料(60分)/オンライン対応

LINEで相談する

LINEでもご相談可能です

みのり青山行政書士事務所 代表紹介

行政書士 大谷賢司
行政書士 / ワインエキスパート 大谷 賢司

お酒の「専門知識」と「経営視点」で、
事業のスタートを支えます

当事務所では、酒類販売業免許の手続きを専門とし、ワインエキスパート・シードルアンバサダーとしての知識と、MBAで培った経営視点を活かして、免許取得から開業後の事業運営までを一貫して支援しています。

私たちが大切にしているのは、「免許を取ること」だけを目的としないサポートです。お酒の販売を「無理なく続けられる事業」としてスタートできるよう、実務と経営の両面から丁寧にお手伝いいたします。

事務所名 みのり青山行政書士事務所
代表者 大谷 賢司(特定行政書士・申請取次行政書士)
東京都行政書士会登録 第24081669号
役職・所属団体 東京都行政書士会渋谷支部 理事
学歴・保有資格 早稲田大学商学部卒業、同大学ビジネススクール(MBA)修了

日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート
日本シードルマスター協会認定シードルアンバサダー
主な実績・講演歴 ・渋谷区創業セミナー(特定創業支援等事業)講師(2025年10月、2026年6月・10月)
・日本ソムリエ協会「ワイン検定ブロンズクラス」講師(2022年)
所在地 〒150-0043
東京都渋谷区道玄坂一丁目15番3号 プリメーラ道玄坂329

ビジネスモデル別 酒販免許の基本解説

ご自身のビジネスに合わせた最適な免許の基本情報と、解説動画をまとめています。

店舗での販売に

一般酒類小売業免許

コンビニ・小売店などで、実店舗を構えてお酒を販売したい方向けの基本的な免許です。

ネット・EC通販に

通信販売酒類小売業免許

ECサイトやネットショップ、カタログ通販などでお酒を販売したい方向けの免許です。

卸売・輸出入に

酒類卸売業免許

酒販店向けの販売や、日本酒の海外輸出、海外ワインの輸入・卸売などを検討されている方向けの免許です。

酒類販売業免許なら
まずは無料相談へ。

初回相談無料(60分)/オンライン対応

LINEで相談する

LINEでもご相談可能です

例:酒販 太郎
例:XXX@xxx.co.jp
例:090-1234-5678
取得希望の免許の種類
免許取得の希望時期
初回相談の希望形式
ご依頼の検討状況
現在のお考えに近いものを選択してください。どの段階でもお気軽にご相談いただけます
任意ですが、ご記入いただくと初回相談がスムーズです